■歯根破折とは
歯が割れるトラブルのことを「破折」といいます。
歯を失う原因のほとんどはむし歯と歯周病ですが、もうひとつ大きな割合を占めているのが「歯の破折」です。歯はとても硬い組織ですが、硬いだけに脆いところがあります。
このため、割れたり折れたりするトラブルがあります。この歯の破折には、歯冠(口の中に見えている白い歯の部分)の破折と歯根(歯の根の部分)の破折があります。
歯冠破折は転んだりぶつけたりという事故で歯に強い外力が加わったことなどが原因で起きますが、歯根破折が起きてしまう原因のひとつが、従来行われてきた金属の支柱と接着力のないセメントを用いた、いわゆる「さし歯」の治療法そのものにあるので、かなり深刻な問題なのです。
■歯根破折は、歯を失う三大原因の一つです
抜歯の原因として、「虫歯や歯周病による抜歯」とカウントされているものの中にも、実は、歯根破折を併発しているケースも少なくありません。 それを考慮に入れると、実際、歯根破折が関わっている抜歯の割合は、まだまだ潜在的に大きなボリュームを占めていると言えるでしょう。
■歯根破折の症状
きちんと治療をしてあるはずの歯が、急に痛みだしたり、歯茎が腫れたりした場合は、この 「歯根破折」 がまず疑われます。歯根破折は、軽度のむし歯治療の場合にみられることではなく、いわゆる 「さし歯」 などの治療を行った歯に多くみられ、 治療後、5~15年という長い年月を経てから起きることが多いトラブル です。
歯根破折を起こしている場合は、様々な症状が現れることがあります。
■歯根破折を放置すると…
歯根破折をおこした歯を放置すると、炎症を起こして、歯周病と類似の状態になります。また、そのような場合、歯を支える周囲の骨がなくなっていってしまう場合もあります。放置せず、早期に、専門の歯科医師の診察を受けるべきでしょう。
■歯根破折はなぜ起きる?
【原因1】 神経を取ったことによるもの
治療の必要からやむをえず神経(歯髄)をとってしまうと、歯は栄養を失って死んでしまいます。このような状態の歯を専門的には失活歯といい、木に例えると枯れ木のようなもので、生の木(健康な歯)と比べると割れやすくなってしまうのです。
【原因2】メタルコアによるもの
さし歯の治療は、歯髄を取り、根の治療を終えたあとに支柱を立てて土台を作り、その上に人工の歯(歯冠)を取り付けることが行われています。しかし、この支柱に金属が使われていると、噛んだ力が硬い金属から柔らかい象牙質に均等に分散して伝わらないため、特定の部分に力が集中してしまいます。これが象牙質にひび割れを起こし、歯根破折になっていきます。
■歯根破折を防ぐには
これまでは、柔らかい象牙質を補強するためには、硬くて丈夫な材料を用いるべきだという考えが浸透しており、人工的な土台の支柱には金属が用いられてきました。
歯根破折は、「さし歯」の支柱に用いる金属と歯の象牙質の硬さが大きく異なるために、噛んだ力が硬い金属から柔らかい象牙質に均等に分散して伝わらず、特定の部分に力が集中して象牙質がひび割れる現象です。
したがって、歯根破折を防ぐには金属の支柱を使わないことが最大のポイントということになります。
現在では、金属の支柱に替わる材料としてグラスファイバー製の支柱が実用化されています。グラスファファイバー製の支柱は金属の支柱に匹敵する強度を持ち、象牙質と近似した適度な弾性を持っているため歯質へのダメージを軽減することができ歯根破折を防ぐことができます。
詳しくは、歯根破折の治療」をご覧ください。