今回は、吉田デンタルクリニックの吉田浩一先生に、下顎大臼歯の近遠心分割破折歯接着保存症例の報告をして頂きました。

 従来下顎大臼歯などの複根歯は、抜歯できなかったり、抜歯した後抜歯窩に戻らないリスクが高く、故眞坂信夫先生は複根歯は破折歯接着保存治療の適用ではないとしていました。

 しかしながら、難しい症例に積極的に挑戦をする情熱のもと、尚且つそれを可能とする高い技術で2016年以降治療に挑戦された50症例の中から、18症例を供覧して頂きました。

 破折歯の接着保存は、もともと5年生存率は9割程度、10年生存率が6割強という40年弱にわたる眞坂歯科医院でのデータがあります(論文準備中)。治療の難しい、世間では抜歯するしかないと言われた歯を、5年、10年機能維持することができれば、治療価値はあるとPDM21東京では考えております。(治療を加えずに経過観察した場合、垂直破折歯の半数が2年余で抜歯を余儀なくされている、という報告が岡山大から出ております)

 経過の良い症例、芳しくなかった症例を織り混ぜて真摯に誠実に症例をご紹介頂き、会員一同学びと難症例への挑戦への情熱をお裾分け頂きました。

 吉田浩一先生、素晴らしい難症例のご供覧をありがとうございました。