症例発表 みなと歯科医院 湊勇人先生 「破折歯のリトライは何度まで」
当会の会員の先生方は、10年以上破折歯接着保存に取り組んでいらっしゃる先生方がほとんどのため、破折の治療をした後で再炎症を起こしてくる経験ももちろんあります。破折歯の接着治療を考案した故眞坂信夫先生も、再度炎症を起こしてきた治療歯に対して、外科的処置や再根管治療を追加して、患者様にとってのただ1本の歯を、できるだけ活かすために尽力してきました。
現在では、歯科インプラント技術も確立されてきたため、治療した破折歯が限界に達して次の段階を考えるタイミングは大事になっていますが、どれくらい再治療で取り組んでいるか?というテーマでお話いただきました。
「接着した歯が割れてきたら、また接着すればいいでしょ!」
という眞坂信夫先生の言葉にハッとされて、再炎症を起こしてきた破折治療歯に対して、再治療を行なって良い経過を得た症例を報告していただきました。
近年は、インプラントなどの治療選択の予知性も確立連れてきたため、患者様の希望やご自身の判断などでリトライの回数が減少している気がすると、シェアしてくださいました。
治療後、また炎症を起こしてきた歯に関して、手術した元々の破折線部ではないところに破折線ができて症状を起こしてきたり、セメント質剥離を起こして症状を起こすことを経験するPDMの会員の先生方が多かったことは、興味深い共有でした。過大な咬合力がかかる歯には、歯根破折も起こるし、セメント質剥離、歯根吸収、歯周組織破壊も起こりやすいことを会員間で確認しました。
1982年から2016年まで5年経過が終える371症例の眞坂歯科医院での破折歯接着治療においては、最初の破折歯治療の後に、Flap手術や再植、歯根端切除術などの追加治療を行なった症例は、全部で123症例のうち、最高で4回の追加治療が1症例、3回が8症例、2回が32症例、1回が82症例でした。これは、患者様の希望と術者の判断との間での数字です。
会議の後半に、SBを用いた歯根端切除について、治療を成功に導くための、歯根尖の切断の程度、断端の窩洞の形成、SB硬化後どれくらい待って削るか、止血法、切開の位置設定などについて、会員それぞれの経験をシェアして頂きました。
眞坂信夫先生の歯根端切除の症例も1例参考にこちらに供覧させていただきます。
施術日2014年3月17日 施術時 78 才 女性
術直後 2014年3月17日
術後6年 2020年5月28日
治療手技動画1
治療手技動画2
治療手技動画3