第74回PDM21東京Web会議報告 2024.11.13
症例発表: 経堂えきまえ歯科クリニック 保高 一成 先生
タイトル 「キツツキコントラ(ノイシュタットジャパン)とライトウォーカー(フォトナ)を使用した破折歯接着治療について」
歯内療法において汚染歯質を効果的に除去する、既製Hファイルを装着して使うキツツキコントラと、Er:YAGレーザーとNd:YAGレーザーを両方備える、ライトウォーカーの使用感をご紹介して頂きました。
*キツツキコントラについて
このエンジンは回転ではなく、縦方向にファイルが動く仕組みのため、Ni-Tiロータリーファイルのようにマイクロクラックを作らず、リッジやステップも生じにくいという特徴があります。また、ランニングコストが良いというメリットもあるそうです。短時間で効率よく根管壁を削合できる一方で、ファイルに無理な力をかけると折れやすいため、事前にしっかりと練習することが重要です。保高先生も30本ほどの抜去歯を使って、事前に練習を積まれたそうです。
厳密には、この上下運動を「レシプロ」と呼ぶそうです。また、穿通用のツイストコントラについてもご紹介いただきました。これはガッタパーチャ除去の際に、根管壁との間に隙間を作ることで、スムーズな除去を可能にするものだそうです。
短時間で安全に根管形成を行った後は、根管洗浄にも細心の注意を払う必要があります。洗浄液の選択、超音波・エンドアクチベーター・レーザーを用いた撹拌法によるデブリ除去など、それぞれの方法の使用感についても詳しくお話しいただきました。
*ライトウォーカーの使用感について
次に、ライトウォーカーの使用感についてご紹介いただきました。この機器はEr:YAGレーザーとNd:YAGレーザーの両方を搭載しており、歯周組織の切除や止血、根管内の消毒だけでなく、根管洗浄時に洗浄液が根管内でどのように還流するかを可視化することができるそうです。
さらに、Er:YAGレーザーを使用したジルコニアクラウンの一塊での除去についても解説していただきました。
*破折歯根接着治療の奥深さと研鑽の大切さ
破折歯根接着治療は、一度破折した脆弱な歯を機能的に維持する治療であるため、歯内療法・支台築造・補綴物の接着・補綴設計といった各ステップを高いレベルで行う必要があります。日々この治療に取り組まれている先生方は、それぞれの技術を常に研鑽し続けており、その姿勢にとても頼もしさを感じました。
また、一つ一つの治療を記録し、試みた治療の結果を詳細に残しておくこと、さらには発表の準備をすることは、日々の忙しい診療の中では決して簡単なことではありません。しかし、このような場で情報を共有していただくことで、お互いに治療の工夫や機器の活用方法を学び、治療レベルの向上につながることを改めて実感しました。そうした学びの機会を得られたことに、深く感謝しています。
保高先生、素晴らしいご発表をありがとうございました!