第75回PDM21東京Web会議 2025.1.15

2025年1月症例発表

症例発表: なえぼ駅前歯科 大村 修一 先生

タイトル 「患者さんのアンカー(最後のかかりつけ歯科医)を目指して〜長期症例の経過から学ぶ」

当日は大村先生の症例発表の前に、昨年2024年11月30日・12月1日に鹿児島県奄美大島で行われた第43回日本接着歯学会学術大会の報告をさせていただきました。今回の学会では、2023年12月に保険収載された、PEEK冠についての発表が多く見られました。耐摩耗性に優れているが、接着しづらい本材料に対する接着試験のデータが複数の研究施設から発表がありましたが、サンドブラスト処理・Super Bondが有効な接着力を示すという結果が多かったように感じます。また、昨年第42回学術大会で眞坂こづえが発表した、破折歯接着治療成績に関する報告に対して、発表優秀賞を受賞させて頂きました。眞坂信夫先生が大好きだった大島紬を母から借りて、授賞式に参加してきました。また、シンポジウム中奄美大島の歯科医師会の先生方からの質問に対する質疑応答の時間がありましたが、SBボンドに関する質問が多く、奄美大島では好んで使われているのかもしれません。

第43回日本接着歯学会学術大会

2025年11月30日、12月1日に鹿児島県奄美大島で開催された、第43回日本接着歯学会学術大会にて

発表優秀賞受賞

昨年の学術大会での発表に対して、眞坂歯科医院 眞坂こづえが発表優秀賞を頂きました

 

そして、札幌のなえぼ駅前歯科医院の大村修一先生から、症例発表をして頂きました。臨床経験も積まれた大村先生の症例を、自然挺出を中心に、長期に渡るその有効性についてお話して頂きました。1996年大村先生が開業された年に開かれた、「臨床歯科を語る会」プラークコントロールをしやすい歯周環境の整備の点で、難しいのは分岐部病変と垂直性骨縁下ポケットであり、この改善方法として、自然挺出と骨欠損部を埋めるGTR法が提起されていました。自然挺出によって、垂直的な骨欠損の底上げ、骨の平坦化が得られるそうです。垂直性骨欠損の原因は殆どの場合咬合外傷と考えられます。

 

大村先生本日の内容

自然挺出を用いた歯周病に対する治療例

自然挺出の利点と欠点

自然挺出の利点と欠点

初診時

初診時

自然挺出開始時

自然挺出開始時

治療終了時

治療終了時

術後8年後

術後8年後

全顎的に歯周病が進んだ方の初診時の写真に対して、積極的に介入して自然挺出と矯正を駆使して、長期に安定する状態までサポートされていらした大村先生の情熱と手腕に心から尊敬の念と自分の臨床にも一つの手がかりを頂いた症例発表でした。

患者様の重篤な状態の歯を救うことは、歯科医師にとっても情熱、時間と労力が必要とされます。そして情熱を持って目の前の患者様に取り組みながら、10年を超える長期に渡って記録を取り続けることは、さらにエネルギーが必要なことです。その結果を後進の私たちに伝えてくださることは、とても貴重なことです。また、発売当初からほぼ組成の変わらないSuper Bondという稀有に優れた材料の存在のために、この長期症例の報告がこれからも生かされていくことが、また更に尊く感じます。

大村先生、素晴らしい症例発表を本当にありがとうございました!