PDM21 メンバーズブログ(2024.2.23)その1

 

皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

当地札幌はここ数日降雪がなく道路脇の雪もだいぶ少なくなっていましたので、例年に比べて今年の雪解けは早いかもと淡い期待を抱いていたのですが、昨日(2月 22日)の夜からの降雪で50cm程の重い雪が積もり、今朝は除雪に追われました(昨日の夜はパーソナルトレーニングの日でしたので、トレーニング後の筋肉に追い打ちをかけられました笑)。

2月10日、11日と東京に行く機会があり、10日は話題の新スポット 麻布台ヒルズに行き、11日は明治神宮を妻と一緒に参拝しました。前週は東京も雪でしたが、当日は日中15℃前後と暖かく、11日は紀元祭(紀元節は日本書紀で神武天皇が即位したとされている日)ということで、神宮内の参道では神主さんの行列や大太鼓、笛によるお囃子、都内の大学のブラスバンド演奏もあり、お祭りの雰囲気を味わうことができました。明治通りの上り車線が封鎖され、10基以上の神輿が法被を着た参拝者により担がれ本殿に向かう様子を見ながら原宿で妻の買い物に付き合った後、私は午後から行われるセミナー会場へと向かいました。

当院には「かかりつけの歯科医院で抜歯と言われたが何か良い治療法はないか」とネットで調べた患者様がほぼ毎週にように来院されています。上手く治療をすると抜歯を回避できることも多いのですが、長期予後の観点から他の治療(歯牙移植、矯正治療、インプラント治療)を提案することもあります(その歯の保存治療を希望されるか、他の治療方法を希望されるかの最終的な選択権は患者様にあります)。
本日は歯根破折により来院された患者様に対し、様々な手法を用いた治療例を 2021年のPDM21東京web 会議で発表した中から一部ご紹介させていただきます。

第一症例:接着再植+欠損部にインプラント
第二症例:抜歯して歯牙移植(ソケットリフト)
第三症例:抜歯して歯牙移植(スプリットクレスト)
第四症例:抜歯して矯正治療

第一症例  60代女性(下顎76 67 欠損)

                                  初診時
                                             接着再植時

 

                             左下5 接着再植6年11ヵ月後
2017年1月に左下奥の歯が割れていることがわかり、ネットで調べて当院に来院されました。 5(歯根破折歯、向かって左上赤丸の歯)は残せるなら残したいと希望されていました。下顎は両側とも大臼歯がすでに喪失しており、同部にそれぞれ片側設計の義歯が装着されていました。 5は保存可能ではあるが義歯の鉤歯は適用外であることを説明し、6 6にインプラントを併せて提案しました。

 

左下5は抜歯再植したところ、根尖の歯質が一部欠けてなくなっておりましたが、スーパーボンドにて破折線部と共に充填処置を行いました。術後に深い歯周ポケットは消失し、その後も現在まで良好に経過しています。口腔健康に対する意識の高い方でプラークコントロールはとても良く、メインテナンスもこまめに継続来院されています。

 

第二症例(40代女性)、第三症例(60代女性)はいずれも歯根破折歯を抜歯して歯牙移植を行ったケースですが、移植床部(移植する側)の骨幅、骨高径が不足していたため、第二症例では移植窩の上顎洞粘膜を持ち上げる方法により3~5mmの骨高径の移植床に歯根長10mmの埋伏智歯を移植し、第三症例ではピエゾという骨メスを用い、骨幅を広げて移植しました。

第二症例  40代女性(ソケットリフトを用いた歯牙移植)

左上6(初診時)

左上6抜歯後の口腔内

 

左上8(埋伏智歯)

 

2013年8月、当院の患者様からのご紹介で来院されました。左上がこれまで何度も脱離と腫れを繰り返しており(近心頬側根が抜根された歯牙に片持ち梁のメタルボンドが装着されていたが、口蓋根に歯根破折を生じ虫歯も進行していた)、抜歯してブリッジもしくは抜歯して義歯と言われたが他に良い方法がないか相談したいとのことでした。2年前に乳癌を経験されており、インプラントのような人工物は入れたくないし歯も削りたくないとの主訴だったと記憶しています(しかしながら義歯も避けたい)。

対合歯のない8 (智歯)がありましたので、当初は8 の移植を考えていたのですが、CTで確認したところ8 は4根に分岐した複雑な歯根形態であったため、移植のドナー歯としては不適であったこと、また移植床部( 6部)の骨の高さも3~5mmしかなかったことから、埋伏している 8をドナー歯としたソケットリフトを用いた歯牙移植をご提案しました。