今回は、ASAHIデンタル・オフィスの朝日啓司先生から、破折歯接着保存の症例報告をして頂きました。破折歯接着保存の要点についてもご説明いただき、歯周外科を併用した素晴らしい破折歯接着保存の再植症例ほかを報告して頂きました。

第53回PDM21Web会議20220608

学術文献も紹介して頂きました。

Axelssonの報告ではメインテナンスを継続すると、抜歯原因は破折が62%で、う蝕・歯内病変21%、歯周病5%をはるかに上回っていた。2018年の日本では、歯周病37.1%、う蝕29.2%に次いで破折が17.8%です。口腔内の衛生環境がよくなると、破折が原因の抜歯が増えるというこの研究は、破折歯の対応が今後益々重要になってくる根拠として紹介して頂きました。

Axelsson P, Nyström B, Lindhe J. The long-term effect of a plaque control program on tooth mortality, caries and periodontal disease in adults. J Clin Periodontol 2004; 31: 749-57.

 

また、ポストの長さの違いは歯の破折に影響がない、という根拠でよく引用されている、ポストの適合性とポストの長さが破折に及ぼす影響についての論文をご紹介いただきました。

Büttel L, Krallt G, Lorch H, Naumann M, Zitzmann NU, Weiger R Influence of post fit and post length on fracture resistance. Int Endod J, 42(1): 47-53, 2009.

長さの違うポストを入れた歯を圧縮してどれくらいで破壊されるか、という論文ですが、垂直に力を加えている実験系のため、ポストが長かろうが短かろうが同じように楔効果で割れるだろう。この実験系でポストの長さが破折に関わらない、という見解が導き出されるのは疑問である、という見解がとても勉強になりました。論文も、原文を確認して実験系自体を自身の目で確認することの大切さを再確認させて頂きました。

素晴らしい発表をありがとうございました!