第80回PDM21東京Web会議
症例報告:「間接法(意図的再植による破折歯の接着)について、根の内部吸収の症例の経験」
関屋デンタルクリニック 関屋 亘先生
今回は、関屋デンタルクリニックの関屋亘先生から、破折歯根接着治療の間接法(再植症例)における、歯根吸収についての症例を、成功例、歯根吸収例を交えて9症例ご報告していただきました。
関屋先生は、かつて眞坂信夫先生の存命時に常勤で勤めて頂いていた経緯もあり、開業後も積極的に破折歯根接着治療を自院で行なっていらっしゃいます。
破折歯根接着治療は、適応症例の選択と手術時は手技的に注意をする点がいくつかあります。今回は参加の会員の先生方から再植時のいくつかの注意点を再確認することとなりました。
・歯根膜を傷つけない、乾燥させない
抜去時、破折部分を清掃・接着処置する際に、歯根膜を乾燥・傷つけないように生食で浸したガーゼで保持します。また、生理食塩水中に30分以上浸漬させた細胞は死滅し始める、という報告があるため(https://share.google/8dJgvYNoGbcom7xrS)、より生存時間の長い保存液を利用したり(ティースキーパーネオ、リンゲル液他)、操作中に抜歯窩の血液に浸す方法の提案がありました。
近年はリグロスやエムドゲインなどの成長因子を併用されているとの会員の先生方の意見もありました。
・抜歯窩に破折接着処置後の歯根を戻す際に、歯根膜が圧迫されないように、少し浮かし気味に戻す。
処置した歯根を抜歯窩に戻すときに押し付けすぎると、歯根膜細胞が傷害されてしまうリスクがあります。浮かし気味に戻して固定したことで、再植した歯が対咬歯と強く干渉する場合は、咬合削合により高さを落とします。
・歯根膜がないように見える歯根表面にも、線維の構造が残っていて汚染していないことが北大の名誉教授菅谷勉先生のグループが報告されているため(https://doi.org/10.2329/perio.42.255)、無理にルートプレーニングを行わない。(明らかに汚染していることが目視で確認される場合は、清掃が必要)
・固定法(糸だけで固定する)が歯根吸収に影響していないかとの懸念が示されましたが、長期に渡る歯根吸収に対する影響は考えにくいとの意見が多数でした。
また、咬合力の負担が大きい歯牙は経年的に歯根吸収を起こす可能性が高いとの意見もありました。
破折歯根接着治療は、40年を経て、その効果が実証されてきた治療法ですが、術式や症例選択、術前後の口腔内環境の管理などにも成績が左右されるため、一つ一つの行程を丁寧に検証し、患者様に最善の結果を提供できるように研鑽していくことの大切さを感じました。
そして、自分が行った治療を検証できるように、記録を続けていくことの大切さを、改めて感じています。忙しい日常の臨床の中で記録をとっていくことは決して簡単なことではありませんが、気持ちを引き締めて取り組み続けていきたいと思います。
(眞坂こづえ 記)





