皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
久し振りのブログアップで、のっけから甚だ個人的な話になるのですが、私、先月の8月16日にベストボディジャパン北海道・札幌大会に初めて出場しました。
36才で開業し、年齢と共に仕事漬けの日々となり、学生時代硬式テニス部で鍛えた体も貯金は
とうに使い果たし、肥満と腰痛にも悩まされ、このままでは健康な60代を過ごせないと考えていた矢先、ひょんなご縁から現在お世話になっている表トレーナーに「うちでトレーニングしてみませんか?」とお声を掛けていただき、一昨年1月から週に1回パーソナルジムに通うようになりました。
週1回のパーソナルトレーニングもそろそろ1年と思っていた昨年暮れに、来年8月ベストボディの北海道大会があるので出場してみませんか?と誘われ、「え、私がこの歳で人前に裸?で出て
ポージング??」と思いつつも、好奇心旺盛で、また昔から一度で良いので死ぬまでに(笑)学生時代のような体にしてみたいと密かに思っていたので、話の種にもなるし位の気持ちでチャレンジすることにしました。
大会前最後の3ヵ月くらいの追い込み期間は、週4日、1回1~3時間の筋トレを仕事が終わった夜10時、11時から、時には夜中の1時、2時までやっていたため、この期間の平均睡眠時間は
4時間くらいでした(時々寝だめはしていましたが)。
また体脂肪率12~13%くらいからなかなか減っていかず、最後の2ヵ月は一度も自宅で食事をせず、診療が終わった後の7時から、1日の総カロリー量とタンパク質量、そして一番重要な脂質量は除脂質可能な食材を自分で買い、カロミルで厳密にコントロールしながら食べていました。
その結果、昨年1月にパーソナルを始めた頃より、体重は18.6kg、体脂肪率は20%落ち、何とベストボディジャパン北海道大会レジェンドクラスの準グランプリを獲得することができました!
一位の方は過去の優勝者で全国大会でも入賞の経験があり、絞りも私と比べると明らかに
絞れており、お聞きしたところ体脂肪率6%とのことでした。
今回の経験を通して、多くの気づきと改善点を得ることができましたので、いつか体脂肪率15%
くらいから5~6%を目指して(それまでにもっと肩回りと背中を筋トレで大きくして)、北海道大会優勝と全国大会(両国国技館)入賞を達成できたらと思っていますので、引き続き筋トレは継続
するつもりです。
そんなことがあって走るトレーニングはままならないまま、大会2週間後の8月31日北海道マラソンにも出場してきました笑。減量期間中は体力、筋肉の持久力も明らかに落ちており、また大会直前まで睡眠時間を削って筋トレばかりやっていましたので、最後まで走り切れるかとても不安でしたが、最初からスピードは上げずにひたすら完走を目指して35kmまではゆっくり8分/km以内で走るようにし、最後は少し余力がありましたのでゴールまでの7kmは少しだけスパートをかけ笑、無事5時間16分(ネットタイム)で完走することができました✌
痩せた効果は勿論ですが、激しい筋トレにより体幹や下半身の筋力が確実に付いたことで、最後まで走り切れたのだと思います。表トレーナーに感謝!!来年も二足のわらじで頑張りたいと
思います。
さてようやくここから本題になりますが、前回6月のブログでは5月のPDM21web定例会の私の発表の後半部分、根未完成歯の歯牙移植の治療例をアップしましたので、本日は前半部分の
一般には保存困難もしくは保存不可と言われるような重度歯周病罹患歯に対して歯周組織再生療法を応用した治療例をご紹介したいと思います。
当院におけるエムドゲイン(以下EMD)を用いた再生療法は厚生省の認可を受けた翌年の1999年から、またEMDに移植骨やGTR(guided tissue regeneration、組織再生誘導)膜を用いた
2種併用、3種併用の再生療法は2009年から行っています。
また2016年には日本で開発された世界初のリグロスという再生医薬品が厚生労働省で認可
されました。リグロスはその患者さんが元々持っている幹細胞を活性化させる薬ですが、一般には保存不可と言われる、幹細胞そのものが不足している高度の歯周病罹患歯に対して、幹細胞
自体をシート状に培養し(歯根膜細胞シート)、罹患部に移植する治療法が現在大学で研究されています。
また更に将来的にはIPS細胞により培養された再生歯胚を顎堤に移植し、歯を再生させるということができるような夢の時代がくるかもしれません。
(第一症例)
再生療法前(エムドゲイン単独)
治療終了21年後の現在
今から20年以上前の治療例です。
上顎左側臼歯部は 6のみが残存しており、歯周病もかなり進行していてⅢ度の根分岐部病変を
有していました。上顎右側臼歯部には54 が残存していましたが、4 は根尖までの骨吸収を認めており、この歯が保存できないと5 は負担過重となり、5 が抜歯になると次は 6が厳しくなって、
臼歯部の咬合支持がなくなると、最後に上顎前歯部が厳しくなり、上は総義歯に移行していくと
いう典型例だと当時考え、エムドゲインを使用して4 の保存を試みました。
炎症と咬合力の」コントロールを医患協同で頑張った結果、お入れした上顎のフルブリッジは治療終了後21年経過していますが、口腔内は1歯も抜歯になることなく、審美的にもまずまずの状態で歯、ブリッジ共に維持されています。
第二症例:歯根破折歯に再生療法を応用した治療例(60代男性)
第三症例:一壁性骨欠損に対する再生療法(40代女性)
第四症例:上顎のⅢ度根分岐部病変を有する歯に対する再生療法(40代女性)
第五症例:保存不可と思われる高度歯周病罹患歯に再生療法を用いた治療例(70代女性)
(第二症例)
歯根破折歯に再生療法を応用した治療例(60代男性)
歯根破折を主訴に来院されました。接着再植(一度抜歯し、口腔外で破折線部を接着修復した
後、抜歯窩に戻して生着させる治療)により、破折線部の治療は問題なく行われたのですが、
破折してからの経過が長く、破折線周囲の歯根膜がダメージを受けていたことから、術後に8mmという深い歯周ポケットが残存しました。エムドゲイン+移植骨による2種併用の再生療法を行い、1年後には骨の再生と付着の獲得を認めました。
(第三症例)
一壁性骨欠損に対する再生療法(40代女性)
初診時すべての最後臼歯(7 は欠損のため右側の咬合接触は6 が最後方)に限局した8~10mm以上の深いプロービング値を認め(7mm以上は重度歯周病)、精査したところ仰向けに寝た下顎後退位で最後臼歯に明らかな早期接触を認めたため、夜間の噛みしめが咬合性外傷となり、歯周病の悪化を加速させていることがわかりました(こういうケースはナイトガードの装着が必須です)。
エムドゲイン+移植骨+GTR膜の三種併用再生療法により、骨の再生が難しい1壁性骨欠損
でしたが、1年後には骨の再生と付着の獲得を認めました。
(第四症例)
他院からの歯周治療依頼にて来院。 6は初診時近遠心に10mm以上のプロービング値とⅢ度根分岐部病変を認めました。このケースは根分岐部に対する器具のアクセスのしやすさ、術後のメインテナンスのしやすさを考え歯髄処置を行い、根分岐部の水平的な深さをできるだけ浅くしたうえで再生療法を行いました。
本来は3種併用の適応ケースでしたが、歯肉が薄く、また遠方からの来院ということでこまめな
術後の対応もできないことから、エムドゲイン+移植骨による2種併用の再生療法で対応しました。しかしながら治療終了時には近遠心とも3mmと大きく改善し骨の再生を認めます。
(第五症例)
このケースも第四症例と同様、他院からのご紹介にて来院。左上臼歯部のインプラント周囲炎の
再生療法を依頼されたケースでしたが、右下、左下、上顎前歯部にも高度歯周病罹患歯を認め ました。CTを見ると 6遠心根の周囲は完全に骨吸収していますが、エムドゲイン+移植骨による
2種併用の再生療法にて遠心根周囲に骨の再生と付着の獲得が得られました。通常は保存不可と思われるケースですが、骨の再生と付着の獲得が得られています。
以上、第一症例はエムドゲイン単独の20年経過症例、第二~第五症例はいずれも骨の再生、
付着の獲得は難しい症例の歯周組織再生療法(2種、3種併用)による改善例をみていただき ました。
最後になりますが、患者さんの歯を上手く残して長期に維持することは歯科医師としての使命と
考えています。私はインプラント治療も行いますが、歯を抜いてインプラントではなく、保存の難しい歯もできるだけ上手く保存し、時に歯をうまく有効活用する(歯牙移植)治療も選択肢の一つ
として患者さんに提示しつつ、すでに欠損しているところに義歯を回避する目的でインプラントを
用いたり、残存歯を守るためにインプラントを上手く活用することを考えています。
先日9月のPDM21web定例会において、眞坂信夫先生のちょうど7回忌ということで眞坂先生を偲び、会員皆で昔の思い出話に花を咲かせました。上の2枚は2013年に山中湖で行われた2泊3日の合宿セミナーの時の写真で札幌からは7名が参加しましたが、私の人生において大変思い出に残るセミナーでした。眞坂先生の在りし日のお姿を思い出し、歯科医療にかける情熱、患者さんに対する真摯な思い、周りの人を巻き込む笑顔と人間力、後進の育成等、眞坂先生に少しでも近づけるよう、私もまだまだ頑張らなければとの思いをあらためて強くしました。














