本日の定例Web会議では、9月に逝去しました、PDM21東京創始者の眞坂信夫先生の1990年代のNDDS(日本歯科医療開発研究会)での講演の動画を10分ほど聞いて頂き、黙祷をさせて頂きました。眞坂信夫先生が残した、歯科医療への情熱と向上心を思い起こし、眞坂信夫先生とともに歩んでいらした会員の先生方のご経験と知見を後進の先生方に繋いで頂きたいと祈る時間でした。

眞坂信夫先生

本日は、「隣接した2歯の破折歯再植術」の症例について眞坂こづえから発表させて頂きました。口腔内法を行って8年ほど経過後, 患歯と隣の歯に骨吸収像が拡大し、連続した2歯間で病巣が連続していたため、2歯を同時抜歯して破折線部の処置を行い、代替骨の同時移植を行いました。術後2ヶ月を経て生着し、動揺度もなく経過良好のためご報告させて頂きました。


 

私自身にとっては2 歯連続の再植治療は初めてのチャレンジでしたが、同様の2歯連続の破折歯再植を3例すでにご経験の先生がいらして、本会の会員の先生方のレベルの高さに再認識させて頂いた時間でした。骨代替材の選択などについても、それぞれの先生方のご経験を伺って大変意義のある時間になりました。

症例発表の後は、眞坂信夫先生の代から続けている、推薦医制度の要件を参加の会員の先生方と再度確認し、PDM21東京は、故眞坂信夫先生が目指した、「一歯一生・一生一歯」を大切にする、常に向上心を忘れず、歯科治療への情熱を忘れず、そして誠実に自身の治療についてディスカッションをして、お互いに情報を交換してより良い歯科治療を模索することのできる、貴重で大切な場であることを再確認させて頂きました。

歯根破折治療を行う歯科医師が増えてきた近年はとても喜ばしいことである一方、インプラント治療が安易に行われて、インプラント治療自体の価値が患者様から危ぶまれた時期があったことと同じことにならないように、と、案じています。現在当会に所属してくださっている先生方だけでは日本中の破折歯根治療を望む多くの患者様に対応できないことは確かですが、安心して患者様が受診できる誠実な取り組みをしてくださる先生が増えて欲しいと参加会員の思いを確認した時間でした。

眞坂信夫先生が大切にしていたことは、1本の歯を大切にして、安易に歯を抜いてしまわずに受診者の方にとっての最善を考えること。

世の治療技術の学びを常に取り入れ、受診者の方々にとってより良い治療を模索し続けていくこと。

受診者の方が生涯おいしく食べる楽しみを失わないように、終末期を安心して過ごせるように人生に寄り添うサポートをさせて頂くこと。

そして、治療の記録をとり続けて自身の治療の結果を検証して、総合的により良い治療を受診者に提供する努力、後進の先生方に経験を繋いでいくこと。

だったと、娘の私は感じていましたが、父と様々な時間を過ごしたそれぞれの先生方にとっては、きっと色々な表情の父が、それぞれの先生方の心の中に生きているのだと感じた時間でもありました。

ご参加の皆様、貴重な時間の共有に心から感謝申し上げます。