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破折歯の治療

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■基本術式

歯根破折の治療は、以下の4つです。

  1. 口腔内接着法(場合によりデブライドメント、歯肉切除を行う)
  2. 口腔内接着法を行い、後日フラップ手術
  3. 口腔内接着法を行い、後日意図的再植
  4. 口腔外接着再植法(多くは再生療法を併用)

1. 口腔内接着法

すべての基本となる処置です。
根管内からマイクロスコープ下で破折様相を把握し、超音波切削機を用いて破折部を追求し、極力汚染源を除去します。
その後、4- META/ MMA- TBBレジン(以下スーパーボンド)を用いて破折間隙の封鎖及び接着固定します。
場合によっては、デブライドメント、歯肉切除を行い、歯根表面の環境改善をうながしますが、基本的には口腔内接着法のみで対応できる症例をいいます。破折の状況で、後述するように2つのタイプに分けて治療しています。

2. 口腔内接着法を行い、後日フラップ手術

破折が歯根表面まで達し、かつ骨縁下に破折が及んでいる場合には、歯根表面からのアプローチが必要となります。フラップを開いて、歯根表面の破折線部と根面部の汚染除去を超音波機器を用いて行い、破折部にスーパーボンドを填入し、硬化後にデブライドメントします。

3. 口腔内接着後、意図的再植

フラップ手術ができない部位に破折部があり、歯根面からの汚染除去が必要な場合には、口腔内接着後、歯根膜を傷つけないように注意深く抜歯し、乾燥に注意しつつ口腔外で歯根表面より汚染除去を行い、スーパーボンドで堀削溝を封鎖後に再植します。

4. 口腔外接着法

破折歯片が完全分離しているような場合、その間隙には住々にして炎症性の肉芽組織が入り込んでいるため、口腔内での接着は難しい、いったん抜歯して直視下で根管面、破折面ならびに根面汚染部の清掃を行い、破折歯片を接着修復し、支台製造または根築1回法を行い、抜歯窩へ戻します。
根尖部には多くの肉芽組織があり、その除去にも時間がかかるため、その間、患歯を乾燥させないような配慮も必要です。
また、破折歯片が分離している場合、歯根膜と歯槽骨の破壊も大きいことがしばしばで、再生療法を併用することが多いです。このような場合、当院では歯根膜再生用のエムドメイン、骨補填材(セラソルプ)、ならびにメンブレンを用いています。

■マイクロスコープによる診査

治療術式の難易度は歯根破折部位における歯槽骨の破壊形態と破壊量によって定まります。
また、歯槽骨の破壊形態は、前歯・小臼歯・大臼歯の歯種、および破折形態、破折後の放置期間などで異なります。
そこで、診断や術式選択を用意にするため、この破折形態をtype M- Ⅰ , type M- Ⅱ , typeM-Ⅲ, type M-Ⅳ, type M-Ⅴ に分けることにします。
歯根破折を主訴に来院する受診者はtype M-Ⅰ , M-Ⅲ~M-Ⅴ が多いが、リスク管理をすることで、自院のメインテナンス受療者ではtype M-Ⅱ が多くなり、早期対応が可能となり良好な経過を得ることができます。

分類 術式 症例
Type M- Ⅰ 口腔内接着法 歯根破折が歯槽窩の内側に限局している症例
Type M- Ⅱ 口腔内接着法 骨壁の厚みのある部位の3壁性骨欠損の症例
Type M- Ⅲ 口腔内接着法+フラップ手術 骨壁が薄い唇(頬)側部に限局した歯槽骨破壊の症例
Type M- Ⅳ 口腔内接着法+再植法 両側性破折で歯槽骨破壊が隣接部や舌側に広がった症例
Type M- Ⅴ 口腔外接着法 破折歯片が大きく分離した状態で、破折が骨縁下深くまで及んでいる症例
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